【新規事業】心理的安全性の確保
アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。
本日は、心理的安全性についてお話します。
新規事業は「最もクリエイティブな組織活動」ですので組織における心理的安全性の確保が重要です。
心理的安全性とは「組織(チーム、グループ、部)の中で自分の意見や気持ちを上司、同僚など誰に対してでも安心して発言できる状態のこと」でエドモンドソン教授が提唱したものです。
グーグル社が「心理的安全性がチームの生産性を高める重要な要素である」と結論付け以下のようなメリットがあったとしています。
①コミュニケーションが活性化する
安心して発言できるため個々人の意見やアイデアが多く集まり、またメンバー間の情報共有が容易になる。
②能力およびパフォーマンスの向上
相手の発言を拒絶せずお互いに尊重し合あえる職場のため、従業員同士が切磋琢磨し自発的な学習も増え、個人の能力および組織パフォーマンス向上につながっていく。
③ビジョンが明確になっていく
組織の目標や課題に対してメンバーが自由に建設的な議論が行え、目指すビジョンを当事者意識をもって明確化していくことができる。結果、メンバーが結束して同じビジョン実現に突き進んでいくことができる。
④エンゲージメントの向上
自分の能力や特技を活かしながら業務にも取り組めるためやりがいが生まれる。
一方でエドモンドソン教授によると心理的安全性が低い職場では
①無知だと思われる不安
上司や同僚から「こんなことも知らないの」と思われないか不安になり必要な質問ができない。わからないことをそのまま放置し学べない。
②無能だと思われる不安
ミスを報告せず隠し、自分の弱点を認めないようになる。
③邪魔をしていると思われる不安
自分の発言に対して上司や同僚から「いつも議論の邪魔をしてくる」と思われないか不安になり、自分から提案やアイデアを出さなくなる。
④ネガティブだと思われる不安
現状を改善しようと発言すると、それが上司や同僚から否定的な人間と思われないか不安になり、発言できず現状批判をしなくなる。当事者意識が希薄になっていく。
既存事業の組織は、やることが決まっておりそれをミスなく、かつ効率的に実現するオペレーション重視のヒエラルキー型がほとんどです。この場合、経験の長い者が上司となり、指示命令で運営していく形態となります。経験の長い、声の大きい人がある意味支配している組織です。
このような組織で慣れ親しんだ社員が新規事業の成功のために互いに心理的安全性を確保することは相当の意識改革をする必要があることは想像に難くないと思います。
では「若手だけ集めて」というのも安易でありマネジメントを放棄しています。
中堅以上の管理職、幹部職が新規事業開発に関わる場合、自身が心理的安全性を低下させ組織能力に悪影響を与える可能性があることを十分留意しておく必要があります。むしろ組織上権限がありメンバーから警戒される立場のため、心理的安全性を十分理解し先頭に立ってそれを高めていくという姿勢くらいが丁度よいでしょう。