【新規事業】新事業開発と知財④

 知的財産権、特に特許の出願、中間対応、登録、その後の維持にかかる費用は日本国内だけでも1件当たり100万円近くかかります。この費用を安いと観るか高いと観るかは製品あるいはビジネスモデル次第です。

 例えば、製薬会社において新薬の特許権は非常に重要です。特許権が切れるとジェネリック医薬品が登場し、販売価格が暴落し、利益が出なくなってしまうからです。新薬の開発コストは膨大であり(成功確率は5万分の1とも言われる)、そのコストを回収するためには特許期間内に利益率高く多くを販売しなければなりません。特許権が製薬分野ほどは重要ではない分野においても特許権がなければすぐに国内外で模倣され、レッドオーシャンとなり利益率が低下してしまい、魅力的な市場ではなくなってしまいます。

 特許権を取得した場合、当該発明を第三者は実施することができず、自社独占できます。そうすることで、自社の売上シェアを大きくすることができ、かつ利益率も高めることができ、収益性の高い魅力的な市場となるのです。

 経済学で言えば、完全自由市場ではプレーヤーの利益はすべてゼロとなります。この完全自由市場から如何に乖離させて、市場に歪みを生じさせるかが、利益の源泉となります。特許権は技術的な独占を特許法が保証してくれ、合法的に市場に強力な歪みを生じさせるビジネスにとって非常に有効なツールなのです。

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