【新規事業】原価企画とは

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、原価企画についてお話します。

原価企画の目的は、マーケットベースで決めた目標価格および目標利益を実現するための目標原価を達成させることにあります。また原価以外にマーケットが求めているあるいは自社が決めた商品投入時期を遵守するために開発リードタイムを管理すること、商品の返品・リコールなどが発生しないように品質を管理すること、などマーケットニーズに合致したQCDを実現する等幅広い目的があります。

手順は下記のとおりです。

目標原価設定 → 商品詳細設計 → 見積原価(>目標原価) → VE(Value Engineering) → 見積原価(≦目標原価):達成 → 商品詳細設計確定 → 生産 → 販売

目標原価を達成する上で以下の注意点があります。

・詳細設計を外注する場合(承認図方式という)、基本設計は自社で行いますが詳細設計は外注先となります。結果、設計コストの低減や外注先の斬新なアイデアによる原価低減が期待できるメリットがあります。一方、詳細設計は外注先に帰属することから、斬新なアイデアの特許を外注先に権利化されてしまったり、当該外注先以外の複数取引先からの購買が困難になり調達価格を低減することが難しくなったり、調達不能となるリスクがあります。

・詳細設計を内製化する(貸与図方式という)場合、承認図方式のリスクはなくなりますが、設計コストが増える、斬新なアイデアが出ない、開発リードタイムが長くなってしまうなどのデメリットが生じます。いわゆる「自前主義」のデメリットが顕在化する可能性があります。

・原価目標を達成させるために下請企業にコスト圧力をかけ、更には納期、品質についても厳しい要求を出すことがあります。すなわち、マーケットベースの価格を実現(顧客志向)→下請企業へしわ寄せ、という構図により「サプライヤーの疲弊」という問題が生じます。

・製品単位あたりである目標原価は「想定した目標販売量」が達成されて初めて現実となります。すなわち、想定した目標販売量において設計段階や製造段階で目標原価を達成したとしても、実際に目標販売量が未達の場合、原価は上昇してしまいます。目標利益も同様です。従って、作るだけで満足するのではなく「目標数量を販売する」ことも必要なのです。販売活動により目標数量を超えるだけ売ることが目標価格で利益をあげていくには必要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次