【新規事業】国際化戦略の分類

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、国際化のパターンについてお話します。

1990年に『地球市場時代の企業戦略』にて事業の国際化についてバートレットとゴシャールが4つに分類しています。

まず国際化を進めるに際して2つの課題を設定しています。「グローバル統合」と「ローカル適応」です。グローバル統合とは規模の経済を追求するためにグローバル規模で製品やオペレーションを標準化するという考え方です。一方、ローカル適応はその名のとおり、各国、現地特有の環境、事情、ニーズに合わせてカスタマイズするという考え方です。すなわち、グローバル統合とローカル適応は考え方が逆であり基本的にトレードオフの関係にあります。

「グローバル統合」と「ローカル適応」を2軸にとり、その程度によって分析したものを「I-R分析」と言います。このI-R分析によりバートレットとゴシャールは国際化戦略を4つに分類しました。

①インターナショナル型(グローバル統合度:低、ローカル適応度:低)

最もシンプルな国際化戦略です。企業の母国(ここでは日本)を中心に事業展開していたものを一部の他国へ輸出するなどで海外展開していく戦略のことです。以前の自動車産業や現在の日本酒などが該当し、日本国内で製品を製造販売していたものを、海外に向けて輸出するパターンです。国際化部分は販売活動のみとなります。

組織としては、本社(国際部)がマーケティングや販売を担当して製品やサービスを展開していきます。対象国のニーズと自社商品の特性が合っている、かつ対象国に目立った競合が存在しない場合にこの戦略が用いられます。

②グローバル型(グローバル統合度:高、ローカル適応度:低)

自社製品の仕様については世界共通としてほぼカスタマイズしないことを前提に、製品の製造拠点を海外に設置し、世界規模で製造・流通・販売を展開していくものです。

国ごとの顧客の嗜好の違いがあまりなく、同一製品を販売できる場合に行われます。原料調達、人件費などは世界視点で全体合理的に設計できるため大幅なコスト削減を果たすことが可能となります。

例としては、コカ・コーラ、アップルのiPhoneなどが該当します。

またプラットフォームを世界展開しているグーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトなどもこの戦略に分類できます。

世界の市場を単一と見て経営資源と権限を本社に集中するため海外子会社の権限は制限されます。

③マルチナショナル型(グローバル統合度:低、ローカル適応度:高)

地域の特性にあった製品やサービスを国別に個別に作り対応していく戦略です。顧客の嗜好が国ごとに異なる場合に用いられます。食品メーカーはこの戦略をとるケースが多いです。現地の海外子会社が十分な権限を持ち、現地調査やマーケティング、製品開発・製造、経営方針の決定などを行います。母国で培った製造ノウハウやブランドを活用して現地子会社が独立的に事業展開していきます。

④トランスナショナル型(グローバル統合度:高、ローカル適応度:高)

規模の経済の追求とローカライズの両方を追求していく戦略です。地域のニーズが異なり、かつコスト要求が厳しいときに用いられる戦略です。トレードオフの関係であり、概念的にはあり得るのかもしれませんが現実的には多くないです。

例としては、多くの部品を世界共通にしながら、各国の規格やニーズに合わせて自動車製造をするトヨタ自動車が該当します。欧米など先進国向けの自動車とインド、ブラジルなどの新興国向けの自動車のニーズは異なるため部品は共通化していくものの機能面は大きく異なるものとしています(先進国向けは高性能かつ高価格、新興国向けは機能を最小限とした低価格自動車)。

新規事業の場合、①、②のパターンが中心になると思います。

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