【新規事業】特許出願の要件

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は「特許出願の要件」についてお話します。

特許とは特許法上で認められる排他的権利のことです。企業にとって特許を取得する目的は当該企業が実施している、あるいはこれから実施する事業に対し競争優位性を確保することです。すなわち、特許申請する技術は当該事業のコスト削減、顧客満足度向上など売上増加、利益増加、シェア拡大に寄与するものであることが戦略上の要件となります。

例えば、製品のコスト削減技術を特許として権利化できた場合、競合他社よりコスト優位性を高めることができ、製品を値下げすればシェア拡大、売上増加、利益増加となり、値下げしなければ利益増加となります。

逆にこのように事業に対し効果のある技術を特許として権利化せず競合他社に知れてしまった場合、模倣されその差がなくなり競争優位性の確保をすることが出来なくなってしまいます。以上より特許出願の目的は事業に対し効果のある技術を発明したとき、それを競合他社が模倣することを防ぐことと言えます。しかし特許の有効期間は出願から20年間ですので、それより長い期間優位性を確保したい場合は「ノウハウとして秘匿する」という選択肢もあります(例 コカ・コーラ)。

特許出願するとその内容が一般に公開されてしまうことを理解した上で特許出願するのか、ノウハウとして秘匿とするのかを意思決定するというのが戦略的実務となります。

特許出願には1件あたり約50万円、維持期間費用を含めると全部で約100万円程度の費用がかかります。この費用の最低でも10倍以上の粗利益増加効果(本当は100倍以上の効果)が必要と考えます。100万円費用をかけて20年間で1000万円ですと、年間50万円程度の粗利増加で「誤差範囲で計測できない」ため100倍以上の効果があるくらいの重要な発明にのみ出願し権利化していくというのが良いでしょう。

技術開発部門を保有している企業では技術開発できたらすぐに特許出願という流れとなっているところが多いですが「事業に対してどれだけの粗利増加効果があるのか」を評価すべきだと思います。

以上のように事業に対して大きな粗利増加効果があることが特許出願の戦略的要件となりますから、特許出願する技術要件としては規模の小さいあるいは稼ぎ力の小さい事業に関連した技術ではなく、

・将来(あるいは現在)の主商品、主事業となるものに関連した技術であること
・当該商品、事業へ他社が新規参入することが想定され、当該技術を模倣されると事業上大きなマイナス影響を生じる可能性が高いこと

が挙げられます。

事業を立ち上げるだけでなく、長期的な競争優位性の確保プランも事前に策定しておかなければすぐにレッドオーシャンになってしまいます。特許はそのツールのひとつですので必ず検討することをお薦めします。

新規事業や事業革新において競争優位を確保するための特許出願をどのようにすればよいのかお困りのお客様はご相談ください。

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