【新規事業】戦略的資本提携
アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。
本日は、「戦略的(資本)提携」についてお話します。
戦略的提携とはベンチャーキャピタル(【新規事業】ベンチャーキャピタル | IB Designers (ib-designers.com))のような純投資ではなく、既存事業とのシナジー効果を期待してベンチャー企業やスタートアップ企業へ資本提携あるいは業務提携することをここでは意味します。
事業会社のオープンイノベーションを活用した非連続的成長、あるいは持続的成長の加速を目指す場合、このような戦略的提携が行われます。
資本提携まで実施する場合、出資先の企業に対しての影響力を増したり、より経営に近い情報を入手することが目的となります。あるいは将来M&Aをして自社グループの子会社にしたいと考えている場合、他社からの買収を防ぐためにも資本提携を行います。
資本提携まで実施する場合の留意点は出資側の意図にもよりますが一般的には、
自社事業とのシナジー効果が期待できることを前提とした上で、
- 事業成功しそう、成長性が高そう、と評価できる事業を実施している会社であること
- 経営者から経営センスが感じられ簡単には経営悪化しそうもないと評価できること
が挙げられます。
スタートアップやベンチャーは誕生したときには多くの期待を集めますが、現実的には新規事業同様に上手くいかないケースが多いからです。
新規事業の千三つとまでは言いませんが、安易に飛びつくことなく、冷静に事業デューデリジェンスを実施して審査する必要があります。企業によっては出資すること自体に社内で評価されることがあるためその誘惑には注意が必要です。出資することを目的化してはなりません。
このような意思決定は将来、銀行融資で言う「こげつき」に成りかねません。
資本提携の目的は、①コバンザメ的に収益を上げていくこと(シナジー効果;スタートアップが成長すればするほど自社も儲かる)、②M&Aなどにより内部化あるいは子会社化、③IPOしたときのキャピタルゲイン、です。事業会社による資本提携の場合、③は主目的としないことがほとんどです。
しかし、いずれの成果を狙うにしても「IPO出来そうなほどの事業の成長性」が見込める必要があります。出資先企業の事業と「自社の既存事業とシナジー効果がある」を見出しただけで安心することなく、ベンチャーキャピタルと同様にIPOによるキャピタルゲインで儲けるくらいのつもりで厳しく評価すべきなのです。
出資先の事業が上手くいかなかったり、事業撤退、会社廃業となってしまっては「上手く行かなかったという勉強」以外に何も成果は残りません。仮に勉強だとしても勉強という言い訳は1度だけにしましょう。
上記は成熟企業がスタートアップ側に依存するようなケースですが、逆にコバンザメ的な収益シナリオではなく、出資側の既存事業のシナジー効果がスタートアップ側の事業成長を大きく促す(牽引する)ようなシナリオを描けるのが理想です。自社で成功をコントロールできる度合いが増すからです。
戦略的提携の肝は「具体的リアルな成功シナリオを描けるか」なのです。