【新規事業】APIエコノミー
アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。
本日は、「APIエコノミー」についてお話します。
出典:今さら聞けない「API」とは?初心者にもわかりやすく解説 (kddi-web.com) 2022.6.26参照
APIは「Application Programming Interface」の略語です。
アプリケーションとは、「パソコンやスマホの中で動作するソフトのこと」、所謂「アプリ」です。
スマホのアプリは数えきれないほど存在します。
プログラミングとは、「プログラミング言語を利用して、パソコンやスマホに指示実行させるアルゴリズムこと」で、Python、C言語、Javaなど。
インタフェースとは「接続する部分」のことです。
つまりAPIとは、「2つのアプリケーションやソフトウェア同士が情報をやり取りする際に使用されるプログラミング上の接続口」です。具体的には、アプリケーション同士が接続する際のプロトコルや接続部分の仕様を取り決めたものです。2つのシステムを連携(所謂、システム連携)する際にもプログラミング上の接続口であるAPIは必要となります。
(出典:今さら聞けない「API」とは?初心者にもわかりやすく解説 (kddi-web.com) 2022.6.26参照)
APIは、サービスを提供する側と利用する側に分かれます。APIサービスを利用する側は、APIサービスの提供者側が事前に定めた形式に従って使いたい機能や情報を入力してAPIサービスの提供者側へ「リクエスト(要求)」を出します。そしてサービス提供側はリクエストを受け取ると、送信された条件を処理して「レスポンス(応答)」を返します。このレスポンスにより利用する側は提供する側のサービスを利用できるようになります。
まずAPIを利用する側のお話をします。よく使われるのはWeb APIです。
<Web API>
インターネットを経由して情報のやり取りがおこなわれるAPIを「Web API」と呼びます。
Web APIは、インターネット上で情報のやり取りに広く使われているHTTP/HTTPSを利用して、アプリケーション同士が接続する仕組みを提供します。使用するプログラミング言語の仕様に左右されず、汎用的に利用できることが大きな特徴です。
Web APIを利用する際、「APIキー」や「シークレット」と呼ばれる、サービスに対する認証情報を使ってアクセスする必要があります(ユーザーとパスワードのような役割)。インターネット上ではセキュリティは大切です。
APIを利用するには、
・APIを提供しているサービスに登録
利用したいAPIが決まったら、APIを提供している会社のサービスに登録します。その際「API連携しサービスを利用する予定のサイトURLやサイト概要」などをサービス提供者側が求めてきます。これは公序良俗に違反していないか等、審査に使用されるものと思われます。
・APIキーとシークレットを取得
サービス登録後、一定期間後(恐らく審査が通ってから)にAPIキーとシークレットがサービス提供者側から発行されます。これらはAPIを利用する際に必要なもので、大切に管理してください。
・サービスを実装
いよいよ利用マニュアルに従って「リクエスト」を出します。するとサービス提供側から「レスポンス」を受け取り、実装完了です。
以上の簡単な手順で他社のサービスを自社で利用できるようになります。
具体例を紹介します。多くのホームページで利用されているものです。
(出典:APIによるデータ収集と利活用 (soumu.go.jp) 2022.6.26参照
<Google MAP API>
Google MAPは営業先訪問の際、詳しく調べるのに利用されている方多いと思います。
このGoogle MAP を飲食店や会社のホームページのアクセスマップで見かけたこと多いと思います。これは利用者(飲食店や会社)がGoogle MAP APIに登録し、Googleが提供している地図サービス「Google MAP」の画面を自社ホームページ上に表示させているからです。
<AmazonのProduct Advertising API>
在庫管理や1日単位での販売額・紹介料の推移を把握できる。
<Twitter(ツイッター)のAPI>
自社ホームページで掲載したニュースやブログ等をTwitter APIを利用することでそのままツイートすることができます。このようなSNS連携はFacebook、LINEなどでも行われています。
<NAVITIME API>
移動手段別に指定地点からの移動可能な範囲を地図上に表示することができます。
以上は数例ですが、APIを公開しているサービスは非常に多くあり、自社のサービスを向上させるには複数利用することも多いと思います。
更に、様々なAPIサービスを1か所に集約(マッシュアップという)することで自社サービスの利便性を高めるのみならず、情報・機能を組み合わせ新たなサービスを創造することもできます。
例:宮崎県の「ひなたGIS(地理情報システム)」
ここでAPIを利用する側のメリットおよび注意点を整理します。
<メリット>
・他社サービスの利用
APIにより他社サービスを簡単に利用できます。自社で一から開発する必要がなく、コスト、時間削減等のメリットがあります。
・セキュリティ向上
GoogleやFacebook等の大手IT企業のAPIを利用すれば自社でセキュリティ対策するよりも高いセキュリティを確保することができます。
・ユーザビリティ向上
API連携する利用者側の本来の目的ですが、自社ホームページ、ECサイト、サービス等のユーザー利便性向上が図れます。、またユーザーの新たなニーズにスピーディーに対応できます。
<デメリット>
・提供側のサービス停止
利用者側はあくまでもサービスを受ける側であるため、サービス提供者がサービスを停止、終了すると利用できなくなってしまいます。更に、API機能が停止されたことで自社サービスの機能に不具合が発生する可能性もあります。
以上のようにデメリットもありますが、メリットの方が大きいケースがほとんどですので、自社サービス向上のために積極的にAPIを活用するのがよいと思います。
次にAPIを提供(公開)する側のお話をします。これは事例を説明します。
<Uber>
(出典:UberとAirbnbを支えるAPIエコノミー:DIが読む「Disruptor 50」 – Business Produce Journal (dreamincubator.co.jp) 2022.6.26参照)
タクシーの代わりに個人所有車の配車サービスを展開しているUber社。モバイルアプリに配車リクエストボタンを追加できる「Uber API」を公開しました。
Uberは本アプリ制作において「地図」はGoogle MAP API、「通話・SMS」はTwilio API、「決済」はBrain tree APIを利用し、自社は「マッチング」コア機能に専念し、本サービスを迅速に立ち上げることができました。これは制作における「オープンイノベーション」あるいは「オープン&クローズ戦略」の一部と言えます。
このサービス開始を受けて、テーマパークや高級ホテルなどが自社のアプリにUberボタンを追加しました。ホテルの宿泊客は、外出時にホテルのアプリに組み込んであるUberボタンを押せば、ホテルの住所や名前を入力する必要もなくホテルまでのUberタクシーが来てくれて利用できます。
これによりホテル側のユーザー利便性が向上するのみならず、Uberもマッチングが出来たため収益が上がるのです。換言すると、Uberサービスの販売チャネルにホテルがなってくれたということです。
このケースですとUberはAPIを公開することで販売チャネルを拡大させ(自社の販売チャネルを構築する必要はない)、自社のマッチングによる収益を自動で上げる仕組みを考えたということです。
これは販売上の「オープン&クローズ戦略」と言えます。
自社のAPIを他社が利用してくれることで自社サービス提供範囲の拡大や新規顧客獲得ができるなど、自社ビジネスの拡大につながります。
このようにAPIを公開する側(サービス提供側)はそのマネタイズのシナリオ、利用者の体験シナリオを描くことが不可欠であるということです。
以上、API、APIを利用する側、APIを提供(公開)する側についてお話しました。重要なポイントは利用者側と提供者側の両方にメリットがなければ成立しないということです。
このようにオープンイノベーション的に様々な事業者のソフトウェアやサービスをAPIにより繋ぎ合わせることで新たな商業活動や経済的価値を生み出すことをAPIエコノミーと呼んでいます。
APIがサービスとサービス、ビジネスとビジネスをつなぎ、企業同士がお互いの強みを利用して、新たな価値を創出する動きが国内外で活発になっています。シェアリング・エコノミー(【トレンド】シェアリングエコノミー | IB Designers (ib-designers.com))とも言えますが、デジタル時代の現在、APIで様々な価値を繋げて新しい価値を創造していくというAPIエコノミーは、エコシステム構築(【新規事業】エコシステム | IB Designers (ib-designers.com))のひとつの方法論となるでしょう。