【仕事力】有名国際誌へ論文投稿するメリット

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は「有名国際誌へ投稿するメリット」についてお話します。

自身の実体験に基づき、研究成果を著名な国際誌へ投稿し受理されることが大切である理由をお話します。

研究成果というものは1~2年、長いものは3年以上の試行錯誤の実験と分析考察を繰り返し、ようやく出てくるものです。すなわち研究成果は様々な失敗とそれを乗り越えるための多くのアイデア、知恵、労働で成り立っています。

この研究成果を日本の学会の予稿集や雑誌に日本語で投稿した場合、その成果は「日本人しか読めない」ということになります。すなわち、素晴らしい研究成果が世界に知られることもなく、日本という小さな国の研究者にしか認知されないということです。

この場合、その研究成果に興味を持ち、コラボレーションしたいと考える研究者は日本人だけでその数は限られ発展性が弱いものとなります。

勿論、日本の学会を盛り上げるために日本人が積極的に投稿するという働きかけがあることも事実です。このような柵の中で投稿することも少なくない現実もあります。

一方、著名な国際学会誌(ネイチャーやJournal of the American Chemical Societyのようなその分野の権威ある専門誌)へ英語で投稿するとどのようなことになるでしょうか。

まず著名な国際学会誌が抱えている査読者(論文を審査する一定の権威のある世界中の研究者、准教授、教授)より投稿した論文に対し、多くの指摘が英語で来ます。普通、査読者は2名です。この査読者は誰かは教えて頂けませんが、この国際学会誌に頻繁に論文掲載される常連の一流研究者だと思われます。

自身が投稿した論文とは異なる専門分野の査読者からの指摘もきて、視野が広がる感覚を覚えます。これに対し、追加で実験を実施、エビデンスを厚くして科学的に立証された事実であることを訴求し修正版を提出します。これを2名の査読者に対しそれぞれ行います。

これを1度あるいは2度実施してようやく国際誌へ掲載されることが決定します。ここまでのプロセスで多くのことを学ぶことができます。この学びは投稿した人でなければその真意や価値はわかりません。また会社の先輩からも教わることができない一流の示唆です。

一流の示唆を得ることが技術者としてレベルを高めるのは非常に重要なのです。

是非、理系で研究に携わっている方は一流の国際誌へ論文投稿してみてください。またそれが普通になるようになってください。そのとき研究者としての品質や実力が一流レベルになったと言えます。

このような著名な国際誌へ掲載されると次のようなことが実際に起こりました。これは自身が研究所で最先端研究に従事していた20代に経験したことです。

世界の発展途上国(アフリカの各国、アジア中東の各国、南米の各国)の研究者より論文を郵送してほしいという手紙がたくさんきました。全員に興味を持って頂いたお礼の手紙と論文を郵送しました。欧州、米国のような先進国では最新の国際誌は毎週図書館や研究施設に送付され読むことができるため論文を送ってほしいという手紙は来ないです。

これにより会社の引き出しの一つが様々な国の切手が貼ってある手紙で一杯になりました。自身の研究に興味を持って頂ける(類似の研究をしている)研究者が世界にはこんなにも多くいることを知りました。

逆に言えば、研究は先進国だけでなく、発展途上国でも相当実施されているということがわかりました。世界は広く、知らない事実に溢れていることを実感した瞬間でした。

国際誌へ10報ほど掲載されるようになりますと、国際学会が開催される際、招待講演の依頼が来ました。また20代でしたがProfessor HOSONOと招待状や手紙が来ました。当然、会社員で教授でもないのに。またこの頃には投稿された論文の査読を依頼されるようになりました。

また幾つかの国内学会の座長もやらせて頂きました。専門書の執筆にもお声がけ頂き自身の当時最先端の技術を紹介しました(「光化学エネルギー変換」(アイピーシー)446ページの専門書)。

自分では何のアピールもしていないのにいつの間にかその研究領域の国内外の人たちに認知されていきました。情報交換や共同研究というように発展していくこともありました。

ここまでをまとめますと、著名な国際誌へ論文投稿・掲載されるとその国際誌を常に読んでいる意識の高い研究者と自然につながっていくという現象が起こります。その結果、研究がコラボにより推進されインパクトのある成果を出せる確率が高まります。

研究者を目指す人は好奇心旺盛な方がほとんどだと思います。新しい発見や技術に興味が強い。世界中の一流研究者とつながると、それぞれの研究者が毎年のように新しい発見や技術開発成果を出しており、日常的に刺激を受けるようになります。好奇心の洪水が起きたら自分がその中心付近にいると思ってよいでしょう。

科学的な研究成果は日本だけでなくどこの国で実験しても同じ結果が出るため、研究成果が実用化されると一気に全世界に広がります(医薬品等、各国の承認手続きが必要なものもあります)。これにより世界のある特定の問題を一気に解決することができます。これが科学的成果の醍醐味です。

社会課題を解決するような研究に取り組み、その成果を著名な国際誌へ投稿し続けることでいつの間にか一流の研究者の仲間入りを果たし、それを海外の研究者も認めてくれるようになります。研究をしている時間は地味かもしれませんが、その成果が出て、世界の研究者に認知され、研究成果のインパクトが非常に大きければノーベル賞となります。

現在の便利で豊かな生活は「様々な研究成果」により生み出されたもので成り立っています。電気、電灯、自動車、電車、飛行機、テレビ、スマホ、インターネット、高層建築、ロケット、治療薬等すべて研究者が実験を重ねた結果生まれた成果なのです。

すなわち、新たな研究成果が社会を変えていくのです。AIもしかりです。

自身はNatureに3度投稿しましたが、残念ながら掲載されませんでした。その中で知ることができた知見として科学雑誌「Nature」に掲載されるための基準(私が投稿した当時)を知ることが出来ました。他の著名な国際誌とは基準が異なるところがあることが興味深かったです。

その基準を下記します(Reviewerからの手紙)。

・世界初のイノベーティブな研究成果であること

・世界全体にインパクトを与える可能性のある研究成果であること

・○○○が△△△のため□□□□□研究成果であること

・他の専門家が実現可能な成果(再現)であると認められる品質であること

です。

上記の○○○・・・の部分は実際にNatureに投稿すればわかります。ここがNatureならではの特色です。

Natureへの掲載を目指すのであれば上記の基準に見合う「研究テーマ設定」を最初にする必要があります。

世界にインパクトを与える新規事業を生み出すためには技術開発も重要な要素なのです。

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