【新規事業】TAM→SAM→SOM

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、新規事業の市場の見せ方についてお話します。

新規事業を企画提案するとき市場規模を必ず意思決定者や投資家へ示さねばなりません。小さ過ぎると当社にとってその規模で意味あるのかと企画が通らないですし、大き過ぎると精査したのかと信じてもらえません。

企画担当者自身もそのビジネスアイデアがどの程度の市場規模になりそうで、その中でも現実的な売上はどの程度になりそうなのかは知っておかなければなりません。

これを説明する便利なフレームに「TAM→SAM→SOM」があります。「TAM→SAM→SOM」の順でそれぞれの市場規模を算定していくと説得力が出ますし、そのビジネスアイデアに対する理解が深まります。

市場を獲得していくシナリオを論理的に語るためのフレームとも言えます。

(意味)
TAM:「Total Addressable Market」の略で「獲得できる可能性のある最大の市場規模」のこと
SAM:「Serviceable Available Market」の略で「実際にその製品がアプローチできる市場規模」のこと
SOM:「Serviceable Obtainable Market」の略で「実際にその製品が獲得できる市場規模」のこと

例(仮想)を用いて説明します。
<例:飲食市場へ参入するが、最初は回転寿司事業へ参入する>
TAM:約34兆円(2019年) 出典:経済産業省・経済解析室「飲食関連産業の動向」2020年9月
SAM:約7500億円(2019年) 出典:企業概要データベース「COSMOS2」
SOM:3000億円(2040年計画) 自社事業のためボトムアップで試算

(プレゼン例)
 食は人間にとって不可欠でありその需要は大きく、かつ安定しています。飲食市場全体(TAM)では約34兆円の市場規模です。当社の強みと市場動向を勘案した結果、回転寿司事業へ参入するのがよいと考えました。外食産業は多様化し売上も分散していますが、回転寿司市場は人気が変わらず高いため成長しているからです。回転寿司市場の規模(SAM)は約7500億円です。この市場にロードサイドを中心に店舗展開を進め、2040年には売上3000億円(SOM)を達成する計画です。人口減少を勘案しますと2040年のSAMは7000億円と予想され、獲得シェアは43%です。最初3年間の具体的な参入計画は・・・・

上記の例は既存市場ですのでTAM、SAMのデータが存在しています。

しかしゼロイチに近い新規事業の場合、今までになかった市場を作り出すことになります(例 ココナラ)。このような場合、TAM、SAMを計算しようとしても明確に出来ず、予想をかなり含んだ数字となります。これは「ブルーオーシャン」であると言えます。逆に数字が正確に出せる市場は「レッドオーシャン」でしょう。

このような不確実性を含む場合、TAMは中長期的の野心的な数字として扱います。ある意味、夢物語です。野心的な数字にしても小さければ再考(断念もあり)する必要があります。

夢物語でGOサインを出す投資家、意思決定者はいませんので、次にリアリティのある数字を示していきます。これがSAM、SOMです。

SAMはTAMの中で最初に狙うターゲット市場の規模です。市場全体(TAM)をセグメンテーションし自社の強みを最も活かせる等を勘案しターゲット市場を絞り込みます。これで参入する「具体的な市場」が決まります。「成長性があって、競合もまだ少なく、自社の強みを十分生かせ、リスクも大きくなさそうだ」と意思決定者に思わせる市場選定が重要となります。これがリアリティの第一歩です。

最後にSOMです。SAMの市場の中で実際に自社が獲得できる市場規模を示します。この場合、同時に具体的な獲得計画を示す必要があります。具体的なアクションプランの提示により信憑性が増し、「できそうだ」を思わせることが出来ます。

以上まとめますと、TAM(夢物語)→SAM(自社が勝てる、かつ魅力的市場の選定)→SOM(具体的な獲得計画)というロジックで説明するフレームということです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次