【新規事業】投資決定理論

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、投資決定理論についてお話します。

投資採算性を評価する手法として有名なのは「正味現在価値法(NPV法)」および「内部収益率法(IRR法)」です。

NPV法とは、投資プロジェクトから生じる将来キャッシュフローを現在価値に割り引いた金額から投資額の現在価値合計を差し引いた金額がプラスとなる場合に投資プロジェクトは実行されると判断する方法である。このときの割引率はWACCを用いることが多い。2つ以上の投資案から1つだけ選択する場合、NPVの数値が大きいものを選ぶことになります。

IRR法とは、年々の現金流入額増分の現在価値合計と投資額の現在価値合計が「等しくなる」割引率を算定する方法です。すなわち、NPVをゼロにする割引率を算出するものです。ここで算定された割引率が企業ごとに決めているハードルレート(例えばWACC)を超えれば投資を実行するという判断となります。IRR法ではより内部収益率の高い投資案を選択していくことになります。

IRR法の欠点は収益率での評価で収益の絶対額ではない点です。内部収益率が高くても規模の小さい投資案件では儲けの絶対額は小さいため優れた投資案件とは言えないのです。一方、NPV法は絶対額がわかりますが、投資効率が算出できません。従いまして、両方の手法で算出することが望ましいです。

上記の算定方法は投資時点の事業シナリオ1本でキャッシュフローを予測し評価するものです。

実際には投資後に撤退、増強など様々な経営オプションが存在します。このオプションを含めて投資評価をする手法が「リアルオプション」です。

リアルオプションとは、投資意思決定において投資した後に行われることが想定される延期、撤退、変更、追加投資等の経営上の選択権をオプション価値として考慮し、投資評価を算定するものです。例えば、延期オプションでは投資する時期を先延ばしするという権利を行使します。一般的に不確実性が現時点で大きい場合にこのオプションが採用されます。

リアルオプションで求めた評価額の方がNPV法で求めた評価額よりも大きくなります。すなわち、オプションに価値があるということを示しています。

新規事業の場合、このリアルオプションの考え方は非常に重要です。

※内部収益率法は資本コスト率(WACC等)の影響を受けないため資本コスト率が変化してもその順位付けは変わりません。一方、正味現在価値法は資本コスト率を直接使用するため資本コスト率が変化するとその順位が変化することがあります。またこの両手法で順位が異なった場合、利益額が最大となる方を選択することから「正味現在価値法による選択」を優先します。

※投資プロジェクトから得られるキャッシュフローを同プロジェクトへ再投資する場合、正味現在価値法では同一の資本コスト率で再投資すると仮定して計算されますが、内部収益率法では資本コスト率ではなく内部収益率(IRR)で再投資されるという誤った仮定となってしまうことから、再投資を含む場合は注意が必要です。

※資金が無限にある場合は順番に投資していけば良いですが、現実には「資金制約」があります。従って単純に順番に投資することは出来ません。その資金を投下して「最も正味現在価値が大きくなる投資案の組み合わせ」を選択することになります。

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