【仕事力】PDCAの功罪

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、PDCAの功罪についてお話します。

PDCAは飽きるほどお聞きなっていると思います。しかし実際に効果的なPDCAを回せている実務者は多くないように感じます。

その理由に「目的の明確化」が不十分であることが挙げられます。名前のままですと「目的」が抜けています。本当はP(プラン)の前に目的があるのです。その目的は達成目標ではなく、通常「確認すること」です。

売上目標をゴールにPDCAを回すのは本来趣旨がずれています。売上目標を達成させるために「各施策の効果を確認すること」が目的でその効果の積み上げにより売上目標が達成されるからです。

以上より効果的なPDCAを回すためには最初に「目的(確認すべきこと)」を明確化した後、それを適切に確認する方法(プラン)を設計していくという順番です。従いまして、P-PDCAであることを意識する必要があります。

P(目的)を意識してPDCAを回すことで目的に整合したプランになっているのか、実施した内容は目的に整合しているか、検証項目とその評価は目的に整合しているか、を確認することになるため、PDCA全体の品質が向上します。さらにD(実施中)において目的を確認するための方法に過不足があると気づき途中で修正することができます。その結果、最小限度のPDCAで結論に到達することができ、生産性が向上します。

P-PDCAにより「目的志向」を強く持てるようになり、成果を出しやすくなることがPDCAのメリットです。

一方、管理者が部下に対して「PDCAをしっかり回して」と発言する場面を多く見受けます。その理由は、「管理者は自らは実施せず、複数の部下からの報告を聞き助言する」という仕事が中心となるからです。「立場上」各業務を理解するためにまず「その仕事の目的」を知りたいと一番に感じます。次に「目指しているゴール」を知りたいと来ます。そしてそこに到達するためのプラン(P)となっているのかを確認したい、となります。

部下の報告で「目的と目指すゴール」が明確に説明されていないと曖昧な報告に感じてしまうため、結局よくわからず最後に「PDCAをしっかり回して」という発言が出てしまうのです。

誰であっても管理者の立場になれば能力に関わらず、そのようになるのです。

実はここに問題があります。管理者がジェネラリストで短期で人事異動している場合、配属される部署の仕事は実際にやったことがないため正直細部までわからないのです。そこで上記のようなことが起こり(部下から丁寧に説明してもらわないとわからない。部下からの情報に依存している。)、頻繁に「PDCAをしっかり回して」という発言が出てしまう。これには管理者側の無知にも実は原因があるのです。

逆に部署のベテランが管理者である場合、丁寧な説明でなくても理解できてしまいますし、まず「PDCAをしっかり回して」という発言は出て来ません。話を簡単に聞いただけで細かな部分まで具体的で的をついた助言が多く出て来ます。

PDCAという言葉は管理者にとって便利な言葉です。大抵の仕事で必要な概念だからです。すなわち、「PDCAを回して」という抽象的な助言が的外れとなることはほとんどなく、自身の無知を隠すには便利な言葉なのです。実はこれを無意識にやっているので本人も気づいていません。

そうなっていないかを自己チェックする質問は「自分は具体的な助言を多くできているか」です。

「PDCAをしっかり回して」を多用している管理者は注意してください。この発言で楽をするのではなく、具体的な助言が多くできるまで勉強し、リアルなマネジメント力を高めましょう。

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