【マネジメント】学習効果を高める

社会人にとっての学習とは、小中学校の授業や問題集で言うところの学習とは全く異なります。学校の学習は単にインプットを増やしているだけです。何度も問題集を解いて解法を覚えてしまったり、理解を深めて少し応用が利くようになるものとは異なります。
また学校の学習は、「出来なかった問題が解けるようになる」ことに主眼を置いています。すなわち、「弱点克服」に焦点が当てられています。弱点克服できれば、その分、「得点が上がる」からです。これは資格試験でも同様です。試験とは弱点克服の努力のプロセスです。
弱点克服型の学習の到達点は、「何でもそこそこできるジェネラリスト」です。安定した会社での管理職や公務員では重宝される存在ですが、イノベーターにはなれません。
イノベーションを起こすような人材、他者とは明らかにずば抜けて尖った人材になるためには、弱点克服型の学習ではなく、「強み最大強化型の学習」でなければなりません。人は自分の強みに焦点を合わせたときに最も成長します。
この学習方法は、自分がうまくやっていること、やったこと(出来たこと)を継続的・連続的に自己認識することに基づいており、うまくできていない、出来なかった体験に基づいていません。失敗体験は成長もある程度しますが、その実態は、「二度と同じ失敗はしないという成長」です。尖らないのです。
従来の管理職の人材育成方法は、弱点克服型です。その結果、管理職からのフィードバックは「出来ないことを指摘し、それが出来るように努力を促す」ことが中心となっています。この方法では、優れたパフォーマンスを生み出すことはできません。理由は、管理職が誰かを評価する際は、その人の特性については考慮せず、あなた自身の技能・スキル・価値観等を反映してしまうからです。換言すると、自分基準の評価とフィードバックとなっており、相手の特性(強みや価値観)を無視しているからです。
この傾向は、指揮命令系統を重視している組織に顕著です。常に「上から」なのです。このような組織では個々人の強みを最大化していく方向にはなっていきません。またこのような組織は重苦しい空気に包まれています。イノベーションや革新は起こりにくいでしょう。
イノベーションや革新を求めているなら、管理者自身の人材育成に関する考え方を変える必要がありますし、自らもそれが適切にできるように学習・トレーニングが必要なのです。
自分基準の管理手法が自身にとって最も楽ですが、組織のパフォーマンスは低くなってしまいます。
人を活かすクリエイティブな組織を目指すのか、ロボットのように従順に働いてもらいたいだけなのか、でマネジメント姿勢は異なってきます。