【仕事力】ビジネス交渉力

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は、「ビジネス交渉力」についてお話します。

交渉についての書籍は多くありますので、一度は読んだことあると思います。そこには様々なノウハウが記載されており有益ですが、ここでは私の実践経験上で重要と認識し、常に意識しているポイントを紹介します。

まず「交渉とは勝ち負け」と考えている方多いのではないでしょうか。弁護士や検察官のドラマなどでは勝ち負けにクローズアップされることが多いためかもしれません。

勝ち負けはある意味、「互いの言い分を押し通し合って、どちらがより得な契約ができるか」という力学的価値観に基づいた交渉です。この中で交渉決裂にはしたくない場合、「少し妥協」して着地点を見つけるという流れではないでしょうか。

これは1本道においてカードを切りながら前後する交渉シーンに多く見られるものです(ドラマ的にはわかりやすい)。更に、大企業と下請企業の間では「優越的地位」を活用し、どちらか一方に有利な契約内容になることも多いと思います(独占禁止法違反の可能性あり)。結局ここでも「勝ち負け」の価値観での交渉となっています。

交渉を「勝ち負けという価値観」で捉えている職場では、「あの人は押しが強いから交渉力がある」という理屈で人選し、高い評価をしているケースが多いと思います。得てしてこのような場合に「優越的地位の乱用」を引き起こすリスクがあります。また勝ち負けは「ゼロイチ交渉」になりがちで、取引不成立という可能性が高まります(取引不成立も重要な意思決定です)。

本来交渉は取引成立のために行うものであり、「それぞれの目的を達成できれば良い」のです。私が常に意識していることは「当方の目的、譲れないポイントとその理由」と「相手の目的、譲れないポイントとその理由」を整理、理解して交渉するというスタンスです。

このスタンスで交渉に臨むと、「一本道ではないケースがほとんど」であり、押し合いする交渉に終始することはなくなります。

直線上の交渉ではなく、フィールド上での交渉になります。この領域はどうしても欲しいがそれ以外はそうでもない、となりどうしても欲しい領域が互いに完全一致することはまずありません。もし完全一致した場合には、一本道の押し合い交渉に近いものになるでしょう。

互いのどうしても欲しい領域が全く重なっていなければ、交渉は容易です。通常は、「重なる部分がそれなりに存在する」ケースがほとんどです。ですから交渉術などというものが必要になってくるのです。

ここで重要なのは「重なる部分」に対する価値の捉え方は「それぞれ異なる」ということです。理由は、企業はそれぞれミッション、ドメイン、ビジョンが異なるからです。重なっていてもその「捉え方」は異なるのです。ここが重要なポイントです。

「重なる部分をどのように取り合うか」を考案するのが良き交渉者です。単に「取った、取られた」という力学に委ねるのではなく、「頭脳を駆使した交渉」をし「互いに満足した合意」を形成するのです。具体的には互いが納得する「取り方」を考えるのです。

私はこれを意識して交渉しています。マーケティング能力も大いに活用できます。逆に言えば、「力学による交渉」をしている人は「マーケティング能力は高くない(むしろ低い)」でしょう。

更に交渉する際、上記以外に「契約書に記載する項目が頭に入っており、その項目ごとに交渉」していきます。どの項目が重要かも理解していますので、メリハリのある交渉が出来ます。

当然、交渉は「事前準備」が何よりも大切です。ここに記載した部分を明確化した上で交渉に臨むことは当然ですが、「交渉の複数シナリオ」をつくり、「それぞれの当方の契約書案」を作成します。

これにより「交渉の解像度」を細部まで高めることが出来ます。何を目的に、どこは譲らず、どこが重要なのか等を明確にした上で交渉することが大切です。

さらに重要なスタンスとしては「勝ち負けでなく、かつ妥協でもなく、WIN-WINとなる契約を考案し合意する」ということです。

互いに満足できる契約が良い関係を構築し、それぞれの目的をも達成できるのです。契約成立の後は「互いに気持ちよく仕事ができる」ことが大切です。契約完了で終わりではないのです。

交渉者は契約後のことまで考えておく必要があるのです。

最後に「オマケ」ですが、「勝ち負けの力学的交渉」をしてくる交渉相手への対処方法です。相手には「フィールドという概念」がありませんので、その場で気づかせ、理解させることは困難です。

相手にフィールドを認識させるように交渉回数を増やし「当方がコンサルティング力を発揮」していく必要があります。

具体的には「互いに検討する宿題を出して次回を予約すること」です。この宿題の出し方がコンサルティング力であり、頭脳交渉力です。

宿題は当該交渉者が検討するというよりはその部下など冷静な立場にあるメンバーが検討しますので、相手側の納得感も形成されるため効果が大きいのです。

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