【新規事業】著作権法②

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日は「著作権法」の続きをお話します。特に「著作者人格権」と「著作権(著作財産権)」の話をします。

「著作者人格権」に関しては著作権法の第18条から第20条に規定されています。この人格権は「絶対性・排他性・非譲渡性」をもっており、人(著作者本人)に帰属する権利です。著作者の想いや感情なども守るための権利で譲渡も相続も出来ません。

第18条には公表権が記載され、「著作者はまだ公表されていない著作物を公表する権利を有する」としており、当該著作物を原著作物とする二次著作物についても同様とする、としています。換言しますと著作物を公表するか否かを決める権利を著作者は有しているというものです。

但し、第2項において著作権を譲渡した場合には譲渡先が公表することに同意したものと推定する、としています。すなわち、公表権自体は譲渡できないが、公表することに同意したと推定するというものです。

第19条には「氏名表示権」について規定されており、著作者はその著作物の創作者であることを主張し、著作物に著作者の実名もしくは変名を表示するか否かを決定する権利を有しているとしています。

著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、著作者が表示しているところに従って表示することができます。

第20条では「同一性保持権」について規定されており、著作者は著作物が著作者の意に反して変更、削除その他の改変をさせない権利を有する。これは著作物の同一性を保持する権利です。

但し、著作物の性質上、改変が避けられない場合は例外が規定されています。

例えば、コンピュータープログラムのバージョンアップ、があります。

以上の「著作者人格権」は譲渡できないため、著作者の著作物を利用する場合、契約書において「著作者人格権を行使しない」と条文に入れることも多いです。理由は著作物を利用しようとする者が著作者から著作者人格権の行使によって利用を大幅に制限され、意図した利用ができなくなるリスクがあるからです。

次に「著作権(著作財産権)」の話に移ります。この権利には、「複製権(著作物を印刷、写真、コピー等の方法により複製する権利)」(第21条)、「上演・演奏権(著作物を公衆で上演したり、演奏したりする権利)」(第22条)、「上映権(上映する権利)」(第22条の2)、「公衆送信権(著作物を送信したり、放送したり公衆へ伝える権利)」(第23条1項)、「口述権(著作物を朗読などの方法で公衆へ伝える権利)」(第24条)、「展示権(著作物を展示する権利)」(第25条)、「頒布権(著作物をその複製物により頒布する権利)」(第26条)、「譲渡権(著作物を原作品又は複製物を譲渡により公衆に提供する権利)」(第26条の2)、「貸与権(著作物の複製物を貸与により公衆に提供する権利)」(第26条の3)、「翻訳権(著作物を翻訳し、編曲し、変形し、脚色し、映画化し、その他翻案する権利)」(第27条)、「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(二次的著作物の利用に関し、当該二次的著作物の著作者と同一の権利を有するというもの)」(第28条)、があります。

第27条は著作物を改変する権利で、改変した後のものが二次的著作物であり、第28条となります。

著作権を譲渡されたとしても、著作権法61条2項は、「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者(著作者)に留保されたものと推定する」と規定しているため、第26条と第27条の権利は著作者に残ってしまいます。

調査報告書、解析報告書、プログラムなど著作物を修正したり加工を加える可能性がある限り、著作権法27条・28条の権利を譲渡させることを契約書に明記しておく必要があります。

ビジネスの世界において他者の著作物を利用することは頻繁にあります。その場合、著作者との契約により著作権を譲渡してもらうなどの手当てをする必要があります。自社の著作権を守ることだけでなく、適切に利用することも考えていく必要があるのです。

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