【新規事業】著作権法③

アイビーデザイナーズ代表 細野英之 です。

本日も「著作権法」の続きをお話します。ビジネスシーンでよく出会うものについて整理します。

ビジネスシーンでは自身の著作物以外の既存の著作物等を基礎として著作物を作成することも多いです。

例えば、「二次的著作物」があります。

著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物のことです(第2条11号)。

※「翻案」とは、既存の作品を原作・原案として、別の作品を作ること(例:原作の漫画化や映画化)。

しかし第27条(翻訳権・翻案権等)にあるように著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を「専有する」となっていますので、著作者(原作者)の許可を得なければ二次的著作物の作成はできませんので注意が必要です。外部委託した調査報告書、解析報告者などを自身で加工することが通常ですので、第27条の権利も報告書受領とともに譲渡してもらう契約とする必要があります。

また二次的著作物の著作者にも、通常の著作権が認められます。但し、二次創作としての独自の創意工夫がなければ二次的著作物には該当しません。

またこれら二次的著作物に対する著作権法による保護は原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(第11条)とされています。一方で、二次的著作物の原著作物の著作者は、この二次著作物の利用に関し、二次的著作物の著作者と同一の種類の権利を専有する(第28条)とされています。

換言しますと、二次的著作物の著作者の権利は原著作物の著作者には影響を及ぼさず、逆に原著作物の著作者の権利は二次的著作物の利用に対して影響を及ぼすというものです。

第28条のとおり、原著作物の著作者の権利は原作者が「専有する」とされているため、二次的著作物の著作者が他者(例:譲渡を受ける者)との契約において自分の権利を譲渡し、権利行使しないと契約したとしても、その効果は原作者には及びません。すなわち譲渡を受ける者は別途、原作者との間でも権利の扱いについて取り決める必要があります。これはビジネス実務で重要な点ですのでご留意ください。

自身が作成する二次的著作物を自由に使用したければ、原著作物の著作者の権利(第28条)を譲渡してもらう契約としておけば良いですし、誰かの二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者と原著作者の間でどのような契約になっているのかを確認しておく必要があります。

次に「編集著作物」についてお話します。第12条1項に、編集物(データベースに該当するものを除く)で「その素材の選択」又は「配列」によって創作性を有するものは、著作物として保護する、としています。尚、2項には編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない、としています。

すなわち、編集著作物は素材等のそれ自身の著作権ではなく、「素材の選択あるいはその配列」に創作性がある場合に編集著作物として保護されるというものです。

但し、判例などによると「配列」の利用は配列の背景にあるアイデアを利用しているもので編集著作物を利用しているものではないと解釈されることも多く、編集著作物の権利侵害を立証することは容易ではないようです。

最後に「データベースの著作物」についてお話します。第12条の2に、データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する、としています。尚、2項にはデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない、としています。

※データベースとは、論文、数値、図形その他の情報の集合体であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるおうに体系的に構成されたものをいう(第2条1項十の三)。

すなわち「データベース著作物」として認められるためには、必要条件としてまずデータベースであること、そして「情報の選択」又は「体系的な構成」について「創作性」を有すること、となります。

「情報の選択」の創作性は、例えば、どのような情報をデータベースの対象とするのか、これら情報の選別方法や基準などについて創作性があることが求められます。

「体系的な構成」における創作性は、例えば、データ検索のアルゴリズム、フラグのつけ方などについて創作性があることが求められます。

但し、データベースというものを公表することはほとんどなく、秘匿化するでしょうから、この著作権を認めてもらう価値はそれほど大きくないかもしれません。権利を認められたとしても他者が権利侵害しているかを立証することは非常に困難でしょう。

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